25 December 2011

7, consciously unconscious

最近新しいアニメーションテストをやっていて思ったことを書きます。アニメーションをやる上で、最近よく考えるのがbelievabilityです。宮崎駿も、ファンタジーを作る上で大事なのは、日常をよく観察してそこを描くシーンを入れることで、観客にそれが真実なんだと信じこませることだと言っています。言葉で言うと簡単そうですが、実際にやるのはすごい難しいと思います。無意識を意識して描くという感じです。ここあたりが、演技とアニメーションの違いだと思います。
例えば、俳優は自分がそのシチュエーションに入って、その感情になると体が無意識にその感情に沿って動くと思います。(例えば、緊張してる場面では、手が落ち着かなく動いたり、モジモジしたりなど)アニメーションが難しいと言ったのは、こういう無意識の動作を意識して表現していかないといけないからです。

感情表現の演技に限らず、普通の動作にも同じことが言えると思います。

例えば、”コップを持ち上げる”という動作。単純に考えると、手の平を開いたポーズ→コップを握ったポーズ→持ち上げる。の3つのポーズで済んでしまう…と考えがちですが(僕も深く考えないとそう考えます)、本当にそうでしょうか??

今自分で20回くらいやってみましたが、掴む前にコップの少し下から手首を持って行って、手首の動きの一連の中にコップを掴む動作があるような感じです。また、掴む時にコップが少し斜めに傾むいて、それを(無意識に!!)上に上げるにつれて水平に直してます。また、コップが上がる前に机の上を少し(2mmくらい)滑るように見えます(机の素材にもよりますが)。

もっと深くいきますか!!

じゃあ、例えばこれが、今パソコンにタイピングしながら、コップをつかもうとすると、指先が一瞬コップの違うところにあたって、そこからちゃんと掴める位置に握り直しますね。で、一瞬だけ、目線をそっちにやります(無意識ですが、多分ちゃんと掴めたか確認するためだと思います。)。動きをもう少し進めると、今ユーチューブで東京03のコントを見ているので、コップにはあまり注意を払ってません。なので、掴んだあとオチ前は動画に集中したいので、コップをつかんだまま右手は空中で静止します。それから、オチが終わった後、コップを口に近づけます。でも、まだコップは見ないです。コップを口に付けて、首を少しだけ傾けて、主に右手の手首を動かしてコップを傾けて飲もうとします。でも、水が口に入ってこない。そこで、初めて目線をコップの中に移します。そこでコップの中が空だとわかります。でも、まだそこまで喉が乾いていたわけではないので水を入れには行かない。でも、後で行こうと思っているので、コップは自分の手元に近い机の位置に置きます。でも、置いた位置が少しタイピングをするのに邪魔だったので、左手で数センチだけずらします。で、コントも終わって、文章もある程度終わりに近づいてきたので、コップに水を入れに行く…実話なので行ってきます。w

という感じで、ここまでの流れを僕は全く無意識でやります。(本当は自分の中で色々と考えていると思いますが、自分では全く気づかないですね。)

ただ逆に言うと、今の例ではキャラクタが全く関係ない動作でした。そんな動作にも関わらず、こんなに色んな可能性があるということは、キャラクタ、シチュエーション、その時の感情など、キャラクタを表現する道具(動き)は無限だと思いませんか??僕はこういう事を考えるとワクワクします。




僕がこの記事を書こうと思ったきっかけの今やっているアニメーションを例にあげます。皿の中はわかりづらいですが、ブロッコリーです。
前半の動きはまあまあ良い感じになってきていたんですが、後半がどうしてもしっくり来なくてよく考えて、多分その理由はブロッコリーを指すところが、ものすごい不自然だからだと思います。最初は、そんなの全く気付きませんでした。さっきのコップの例じゃないですが、フォークを構える→フォークを刺すという動きだと思っていました。でもよく考えると、こんな動きでフォークをさせるわけないし、もっとちゃんと狙って刺さないと無理だと気付きました。しかも、もっと狙うとしたら、目でそこを見てないと無理だと思いました。

そうなんですよねー、さっき言った無意識を意識して描くということの本当の難しさはここなんですよ!!ちゃんと出来てたら気づかない。で、ちゃんと出来てなくても気づかないんです!!ただ、違和感は残る!!みたいな。あーこういうのめっちゃ気持ち悪いですね。やだ。

僕が今の時点で、これの解決策は、

①考える!!よく考える!!そして考える!!…まずは無意識をにやっていることを良く考える事が大事だと思います。

②リファレンス…自分で演技してみて、それをビデオで撮って無意識にやっていることをよく見てみること。



ちなみに、これが最初に撮ったビデオリファレンスです。これ見ると、エアーブロッコリー、エアー皿でやってたので、そこがリアリスティックならなかったんですね。納得。


それで、これが上を踏まえて追加で撮ったビデオリファレンスです。手の動きと、自分の目線の動きを撮りました。



そして、直した後、これが今のところの最新バージョンです。



今回のこの無意識を意識して描くというのは、こうやらないと変に見えるからっ!!というネガティブな要素だけなくて、実は、この無意識を上手く描くことで、キャラクタの性格、感情をものすごい伝えられる強力な武器になるとも思います。
例えば、この最新のやつでは、椅子にもたれかかってるポーズから前に来る時にメガネを上に上げる動作も追加したんですね。これが結果的に、この男の子はお母さんがこっちを向かないかどうか、ものすごい集中して見ている!!という感情をよく伝えているように見えます。もしそんなに集中してなかったら、メガネを上げた時に瞬きするかもしれないし、目線がすこしずれるかもしれないです。でも、メガネを動かしているのに目線が一切ずれない。というこの無意識の動きが、このキャラクタを良く伝えています。我ながらここはスタンディングオベーションですね、ラッキーヒットですが。w





1 comment:

  1. 無意識を意識した時点で意識になってしまうんですよね。
    でも記事を見てると、無意識を意識しているつもりでも、リファレンスを撮ってみると無意識がそこら中にあるんですよね。
    それをどんどん作品に組み込んでいく事で「生きている」表現に近づいていくんでしょうね。
    今、私が作っている作品も入れていかなきゃいけないですね。反省。

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